
現在goodoffice新橋では、オープンイノベーションプログラムにご参画いただいている株式会社 竹中工務店とコクヨ株式会社と一緒に、『次世代オフィス検討プロジェクト』と題しワークショップやフィールドワークを行っています。今回はその中の『ワークトリップ』というプロジェクトを紹介します。
- テクスト:コクヨ株式会社 嶋倉 幸平 / Kouhei Shimakura
新プロジェクトのご紹介

オープンイノベーションのひとつ、『次世代オフィス検討プロジェクト』では、『建築とまちづくりのプロフェッショナル、竹中工務店』と、『働き方をデザインする、コクヨ』が参加企業として加わり、『コロナ渦で多様化する働き方や、今後のオフィスの在り方』をテーマとしてワークショップやフィールドワークを実施しています。

ワークショップの中で、『オフィスで働くことだけが本当に効率のいいことなのだろうか、街の中を使って働くことはできないか?』そんなメンバーの声から生まれたのが、今回ご紹介する『ワークトリップ』というプロジェクトです。リゾート地や郊外で働く『ワーケーション』という言葉を聞いたことがある人も多いかと思いますが、このワークトリップは、逆転の発想で『都心で旅するように働くことができたら面白いのではないか、発想力が上がるのではないか』という仮説をもとにした実証実験です。

vol.0の今回は、もし新橋という街で『ワークトリップ』が実現したらこんな働き方ができるかも!という理想の世界を、小説仕立てのストーリーに乗せてご紹介します。 皆さんも、オフィスと街中を併用して働いたらこんな感じになるかな、などと想像膨らませながら読んでいただけると嬉しいです。 *以下のストーリーはフィクションです。

『ワークトリップ』プロローグ
新プロジェクトのキックオフ合宿が新橋で行われると聞いて違和感しかなかった。 新橋といえば、居酒屋・スナック・ピンク街。いわゆる夜の街のイメージしかない。 一方、合宿といえば、これまでは郊外の研修所というのが通例だった。 良質なアウトプットを絞り出すには、非日常の雰囲気を味わいつつ、缶詰になるというの は新入社員のときからのお約束でなかったか。 そんなことを考えているうちに、JR 新橋駅に降り立った。

時間は朝8 時を回ったところだ。 通勤客はだいぶ戻ってきただろうか。 無言で歩く人々をぬけると、今日の合宿地の受付である「堀ビル」が見えた。

荷物を預けて、チェックイン。渡されたのは、部屋の鍵ではなく、 なんと電動キックボードのキー! *1 これで、新橋の街中を移動しながらワークショップをしていくらしい。

最初の目的地は烏森神社。堀ビルからは3 分で到着した。 合宿成功にむけてのご挨拶。 祈願より、感謝をささげるのが新橋流。 なんだか身が引き締まる。 メンバー間の自己紹介も新鮮な気持ちでやれた。

その後は隣接する雑居ビルの1 フロアに駆け上がる。 夜は水商売のお店が入るが、日中は働くスポットに開放されていた。 *2 ブレインストーミングは、いつもと違う空間だと発言量も増える。 約2 時間の討議は大いに盛り上がった。

その後昼食は少し先の居酒屋ランチ。 ここもキックボードで3 分ほどの距離。

午後は午前中に出たアイデアをまとめていく作業。 2 部構成となり、前半は個人ワークとなるらしい。 新橋のマップを見せられて、いくつかの「提携店 *3」 からピックアップする。 選んだのはサウナ「アスティル」。若かりし頃、終電を逃した際によく利用していた。 昼間に来るとまたどこか雰囲気が違う。なんというか神聖な感じすらする。
一方、他のメンバーが選んだのは博多ラーメン屋。 チェーン展開しながらも、九州らしいノリを重視するその店は、卓上の間仕切りに囲まれ た超集中ワーク環境を実現*4 していたらしい。 さらにもう一人のメンバーは虎ノ門まで行ったとのこと。 歩けば15 分だが、キックボードだと3 分の距離だ。 お互いのメンバーの場所がアプリで可視化される*5 というのも新鮮な体験である。
後半のグループワークは堀ビルそばの老舗居酒屋。 ここにあるのは開店前のアイドルタイムを有効活用したミーティングスペースである。 グループごとに完全に貸し切れるのがいい。 他社の合宿も同時刻で行われているようだが、鉢合わせることはない。 街の店舗の数だけミーティングスペースがある。 港区の商店街の組合が店舗のアイドルタイムの斡旋をしている*6と聞いたのは、 まとめのワークも終わりにかかっていたときだった。

堀ビル1 階での最終プレゼンも多いに盛り上がり、その後案内されたのは屋上だった。 用意されていたのは、街の提携店から届いた食事によるケータリングパーティだった。 新橋を凝縮したようなメニューを新橋の街を見下ろしながら食べる。 思えばとてもラグジュアリーな体験である。

陰と陽、光と闇が混ざり合うその様子はまさにラビリンスだった。 帰り道、「今日はまだ半分の新橋しか体験していないんじゃないか?」 ふとそんな言葉が頭をよぎった。
気が付くと昼間に行ったサウナに再度向かっていた。 夜のモードに変わるには儀式が必要だ。 新橋ワークの本当のWAKU WAKU はいまから始まる・・・
*1.*2.*3.*4.*5.*6. 現在利用できるサービスではありません。今後実証実験を重ねて、実装を検討していく予定です。
「オープンイノベーションプログラム」 現在goodoffice新橋で実施しているオープンイノベーションプログラムは、本オフィスに設立から関わっている竹中工務店COT-Lab新橋など、『建築・空間・DX』をテーマとする企業やイノベーションを目指す人達の協業・共創を実現すべく、大手企業の新規事業部やベンチャー企業など複数企業に参加いただきながら、多方面から『魅力あるオフィス』へのアプローチを試みています。